「have」と「have got」は、特に何かを所有していることや関係、病気などについて話すとき、ほとんど同じ意味で使われます。しかし、ニュアンスや使い方にいくつかの重要な違いがあります。
結論:一番の違いは「フォーマルさ」と「使い方」
• have: より一般的で、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使える。
• have got: より口語的・インフォーマル。特にイギリス英語でよく使われる。
それでは、具体的な違いを詳しく見ていきましょう。
1. 意味はほぼ同じ(所有・関係・状態)
まず、基本的な意味は同じだと覚えておきましょう。
• 所有:
• I have a ticket.
• I’ve got a ticket.
(私はチケットを持っています。)
• 関係:
• She has two sisters.
• She’s got two sisters.
(彼女には姉妹が2人います。)
• 状態・病気:
• He has a headache.
• He’s got a headache.
(彼は頭が痛い。)
2. ニュアンスと使い方の4つの違い
① フォーマルさ
• have: ニュートラルな表現。書き言葉、話し言葉、ビジネス、日常会話など、どんな場面でも使えます。
• have got: カジュアルな話し言葉で使われます。Eメールやビジネス文書などの書き言葉では通常「have」を使います。
② 疑問文・否定文の作り方
これが文法的な大きな違いです。
have の場合 (do/does を使う)
• 疑問文: Do you have a pen?
• 否定文: I don’t have a pen.
have got の場合 (have/has を使う)
• 疑問文: Have you got a pen?
• 否定文: I haven’t got a pen.
③ 時制の制限
• have got は 現在のこと を言うときにしか使えません。
• 過去や未来、完了形などでは have を使う必要があります。
• 過去: I had a dog. (正)
• <span style=”color:red;”>I had got a dog.</span> (誤 ※所有の意味では使いません)
• 未来: I will have some free time tomorrow. (正)
• <span style=”color:red;”>I will have got some free time.</span> (誤)
④ 「行動」を表す場合
食事をする (have breakfast)、休憩する (have a break)、シャワーを浴びる (have a shower) のような**「行動」**を表す場合は have しか使えません。
• We have lunch at noon. (正)
• <span style=”color:red;”>We have got lunch at noon.</span> (誤)
• I’m going to have a bath. (正)
• <span style=”color:red;”>I’m going to have got a bath.</span> (誤)
【まとめ】have と have got の違い(表なしバージョン)
● 意味
• have: 持っている、ある、いる
• have got: 持っている、ある、いる(意味は同じです)
● フォーマルさ
• have: ニュートラル(いつでも、どんな場面でも使えます)
• have got: インフォーマル(主に話し言葉、カジュアルな場面で使います)
● 地域
• have: アメリカ英語でより一般的です
• have got: イギリス英語でより一般的です
● 疑問文・否定文の作り方
• have: Do や don’t を使います (例: Do you have…? / I don’t have…)
• have got: have や haven’t を使います (例: Have you got…? / I haven’t got…)
● 時制の制限
• have: すべての時制で使えます(過去形 had, 未来形 will have など)
• have got: 現在形のみで使います
● 「行動」を表す場合
• have: 使えます(例: have a break, have lunch)
• have got: 使えません
なぜ、文字数が多いhave gotの方が口語的なのか?
これには、言語の歴史や、話し言葉特有の「リズム」や「強調」の感覚が関係しています。理由は一つではありませんが、主に以下の3つの点が挙げられます。
1. 音のリズムと強調のため
話し言葉は、文字数よりも音のリズムや響きが重視されることがあります。
• I have a pen. (アイ・ハヴ・ア・ペン)
• I’ve got a pen. (アイヴ・ゴッ・タ・ペン)
「I’ve got」と短縮形で言うと、「got」の [gɒt] という音がポンと置かれることで、文にリズムと力強さが生まれます。「持ってるよ!」という感覚が、have だけで言うよりも少し強調されるニュアンスがあります。
特に got は破裂音なので、口に出したときに小気味よく聞こえ、会話のテンポに乗りやすいと感じるネイティブスピーカーは多いです。
2. 歴史的な成り立ちから
元々、「have got」は「get (手に入れる)」の現在完了形です。
• I have got a ticket.
→ 「私はチケットを手に入れた(その結果、今それを持っている)」
この「手に入れた結果、今持っている」という意味が、次第に単なる「持っている」という所有の意味で使われるようになり、口語表現として定着しました。つまり、「新しく作った」というよりは、元々あった表現の意味が変化して広まった結果なのです。
3. 実際には短縮形が前提だから
書くと have got は長いですが、会話ではほぼ100%、次のように短縮されます。
• I have got → I’ve got
• You have got → You’ve got
• He has got → He’s got
音節(シラブル)の数で比べてみると、
• I have (2音節)
• I’ve got (2音節)
となり、発音する上での長さや手間は、実はほとんど変わりません。文字数という見た目の長さと、発音するときの感覚は少し違う、というわけです。
まとめ
わざわざ文字数の多い「have got」が口語で使われるのは:
1. リズムと強調: 「got」の音が会話に力強さとテンポを与えるから。
2. 歴史的背景: 「手に入れた」という完了形が、所有を表す口語表現として定着したから。
3. 短縮形が基本: 会話では I’ve got のように短縮され、発音の手間は I have と大差ないから。
言語は必ずしも「短い=効率的」というルールだけで進化するわけではなく、こうした音の感覚や歴史的な流れが大きく影響していて、非常に面白い点ですね。

  
  
  
  
